人文学科の栗田(西洋近代美術史、博物館学)です。
「美術って、知識がないと楽しめない」って思っていませんか?
跡見学園女子大学の授業「アート入門」では、作品を“正解探し”で見るのではなく、自分の目で観察し、対話しながら読み解く体験も大切にしています。
アートカードや対話型鑑賞、名画のグループ鑑賞などを通して、美術館で作品がもっと面白く見える“見る力が身につく授業です。
***
柴田先生が取りまとめておられる「アート入門/造形論」で私が担当した3回が終わりました。3回の骨子は、対話型鑑賞を繰り返すなかで、「見る→観る→視る」のプロセスで鑑賞力ブラッシュアップしようとするものです。
1回目の前半は、アートカードで楽しんで鑑賞するコツをつかんでもらいました。後半には、最近美術館で注目されている対話型鑑賞を行ってもらいました。
アートカード:https://www.youtube.com/watch?v=4GbqiczRHZY
対話型鑑賞:https://www.youtube.com/watch?v=yxbxMD2J-0E
複数人で鑑賞すると新たな気付きも多く、新鮮な体験だったようです。
2回目は、アートカードの応用編でウォーミングアップを行ったあとで、絵をじっくり観察できるようなるのに役立つ「造形要素/造形原理」について学びました。
造形要素:Line(線)、Shape(形)、Color(色)、Value(明度・明暗)、Texture(質感)、Space(空間)、Form(形態)
造形原理:Balance(バランス・均衡)、Contrast(対比)、Emphasis(強調)、Movement(動き)、Rhythm(リズム)、Unity(調和・統一感)
3回目は、プッサンの《オルフェウスとエウリュディケ》について5人ずつのグループに分かれて次の手順で詳しく鑑賞しました。
① 予備知識なしで観察。
② 登場人物になりきってみる(活人画)。
③ 主題と図像についての解説後、登場人物の同定。
④ 栗田による詳しい解説。
活人画になるのはなかなか難しかったようですが、なかなかの盛り上がりでした。
後半は、皆さんの推しの作品で対話型鑑賞を行っていただき、セッションの最後に推しについて詳しく語ってもらいました。対話型鑑賞も3回目となると話が弾んだようでした。
***
絵や彫刻を心から楽しむ「豊かな美術鑑賞」をするためには、ただ見るだけではなく、いくつかのコツがあります。
まず、作品を前にしたら、インターネットや本で読んだ情報など、知っていることは一旦忘れて、素直に作品と向き合いましょう。少し離れて見て全体のバランスや雰囲気を確かめ、その後、近づいて絵の具の厚みや筆の跡(筆致)などをじっくり観察する、この両方が大切です。
でも、ただ目で見るだけでは、西洋の古い作品などは「何が描かれているんだろう?」と疑問に思うことがあります。そこで役に立つのが、日頃からの準備です。聖書やギリシア神話など、作品のテーマによく使われる有名な物語を読んで親しんでおくと、描かれている人物や物が持つ「意味」がわかるようになります。
どちらか片方だけでは、もったいない鑑賞になってしまいます。目で感じる力と、知識で読み解く力。この二つの力が合わさって初めて、作品の奥にあるメッセージまで受け取れる、深くて楽しい鑑賞体験ができるのですね。
***
美術鑑賞をさらに深めたい方には、文学部には以下の授業も用意されています。
日本美術史(鑑賞を含む)A
日本美術史(鑑賞を含む)B
西洋美術史(鑑賞を含む)A
西洋美術史(鑑賞を含む)B
東洋美術史(鑑賞を含む)
近代美術史(鑑賞を含む)
現代アート論
東西美術交流
西洋図像学
色彩象徴論