人文学科の柴田です。
全学共通科目「アート入門」では、4名の担当教員がそれぞれ複数回の講義を受け持つ他、スペシャルトークの機会を2回設けました。東西の美術史の先生方による(日本画の柴田も加わり)<鼎談>━美術の東西比較━と、茂木先生による「インクルーシブアート教育」の紹介の回です。
<鼎談>の回では、日本美術史の矢島先生の司会進行のもと、美術史の先生方が事前に入念に選定された、東西(日本美術vs西洋美術)を並べて比較するための画像を、どんどん見ていきました。
見返り美人だったり、山の絵だったり・・・似た主題ながらも表現の異なる作例が次から次へと出てきます。まずはフロアーの学生さんたちから、素直な感想の発言をしてもらいます。またそれについて他の気づきがある方の発言も歓迎です。
その後で、日本美術に関しては矢島先生、西洋の古い絵に関しては剱持先生、近代西洋美術に関しては栗田先生が美術史的な蘊蓄をご披露くださいました。日本美術史から西洋美術史へ、またその逆もしかりで、先生方同士での質問の投げかけ合いなどまさに見ものでした。
先生たちが雁首を並べてああだこうだ語り合ったりする場面は、普段の授業ではなかなかない光景で学生たちも面白そうでした。作品を制作する側(日本画)である自分も、美術史といっても、西洋美術史と日本美術史の(あるいは個々の研究者の)着眼点の違いなど、やり取りがときに微笑ましく、大変勉強させて頂きました。それにしても、学生たちのユニークな発想には本当に楽しませて頂きましたし、そのような中に「アートの大切なこと」が潜んでいる気がしました。
スペシャルトークの2回目では、美術教育の茂木一司先生による「インクルーシブアート教育」のお話を伺いました。
先生は修士課程の頃シュタイナーの教育に傾倒され、アートによる学びについて精力的に研究されてこられています。ワークショップ学習やインクルーシブアート教育、視覚障害者と一緒に行なうアートなど、多方面の方々と組んでの様々な豊富な実践例を動画も交えてご紹介くださり、学生たちも興味津々の様子。お話を伺った後は数人ずつのグループでディスカッションして班で一人ずつの発表もしました。
『今後の共生社会はアートを基礎に構築すべきではないか。科学は世界を豊かにしたが、同時にいい知れない不安感を抱かせ、さらなる分断を進める。大事なのは全体性を取り戻すことだ。・・・アートは科学によって冷たくなった社会をつなぎ直す。H.リードはアート教育の目的を「個人と社会の有機的統合」と言った。その最終目的は「平和のための教育」だったはずだ。(日本音楽教育学会長崎大会)』
この2回の機会を通じて、色々な分野が細分化しながら進歩(?)してきた現代社会にあって、今、全体性、統合、共生・・・といった価値観が急速に希求される時代を迎えていることに深く気づかされました。美術のいわゆるジャンルの垣根しかり、洋の東西の文化的相違、富の差、社会的立場の相違、ジェンダー、人の障害の有無・・・そういった分断を大きな<愛>で包み込むような人類の叡智こそが必要なのだ、と考えることができた有意義な2回のスペシャルトークなのでありました。
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「アート入門」は令和7年度スタートの新カリキュラムで新設された、全学共通科目(全学部学科の学生が履修できる科目)です。人文学科に所属する教員が複数名で受け持つオムニバス形式で、跡見学園女子大学が大切にする「アート」について幅広く楽しく学びます。