本学で学芸員課程主任を仰せつかっている人文学科の栗田(博物館学、西洋近代美術史)です。若い頃には14年ほどある県立美術館で学芸員をしていました。数年前に『現代博物館学入門』(ミネルヴァ書房)を編者として刊行し、現在も教科書として使用しています。
※参考映像;学芸員とは?(NHK)
具体的には、前期課程で「生涯学習概論」と「博物館概論」を履修し、後期課程で「博物館経営論」「博物館資料論」「博物館資料保存論」「博物館展示論」「博物館教育論」「博物館情報メディア論」「博物館実習」を履修します。
「博物館実習」は4年生に開講され、春学期の基礎実習、夏期休暇を中心とする学外実習、秋学期の花蹊記念資料館における模擬展示の準備と実施の実習があります。
なお、学外実習の受講にあたっては、人文学科では美術史系か歴史・民俗系のゼミに所属していただき、それぞれに設定された必修科目を履修することで実習生に求められる専門知識を身につけていただくことにしています。
毎年秋学期末に花蹊記念資料館で開催される博物館実習模擬展示は、学芸員課程の集大成となるものです。受講生は美術班と歴史・民俗班に分れ、それぞれが企画、準備、実施を担当します。
2024年度の歴史・民俗班は、「女学生図鑑―教養とおしゃれ―」を企画しました。その模様は大学の公式YouTubeチャンネルでご覧いただけます。コチラ
学芸員の募集は、教職に比べると少なく、とりわけ、しばしば高度な専門知識が求められる大規模館に学卒者が正規職員として採用されることは容易ではありません。そのための深い専門知識を身につけるためには大学院進学が必要となる場合もあります。
中小の自治体では、公務員試験を受けて採用されると博物館への配属の可能性もありますし、文化財行政や文化行政に携わることもあることでしょう。もちろん学芸員資格の取得により、仮に学芸員とならなくとも、博物館に対するリテラシーが高まり、博物館を楽しむノウハウを身につけることができます。
また、博物館や美術館を取り巻く業種には、展示企画、ディスプレイ、輸送・展示、図録制作、印刷、音声ガイド制作、ショップなどがあり、そこでは学芸員課程で学んだ知識や経験が大いに役立つこともあるでしょう。
卒業時に学芸員にならなくとも、資格があれば学芸員として就職するチャンスはあるものです。学芸員資格の取得は、皆さんの卒業後の活躍の幅を広げる一助になるはずです。
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ということで、跡見の学芸員課程についてのご紹介でした。次回は全学で取得可能な司書課程を紹介します!