2026年2月19日木曜日

全学共通科目「アート入門」のご紹介・その5【授業紹介】

全学共通科目 「アート入門」第4弾(ラスト)は柴田(日本画)が担当いたしました。

わたし自身、生き物が大好きで美術に進まなかったら獣医さんになっていたかもという人であり、また大動物を確固たる構造で掴んで日本画に描きたいという思いから<美術解剖学>も勉強してきましたので、「人のかたち」としてその話をしました。それから骨格(の流れ)に絡めて、ジェスチャー画体験も。クロッキーよりさらに直接的に、感じとったムーヴマン(動勢)を跡づけるように描く速描きです。


ざっと我が国の美術解剖学の流れに触れた後(東京美術学校における藝用解剖学の日本人最初の先生はかの森鷗外です)、骨格や筋肉のつくりと関連する美術作例をいくつか紹介。例えばピカソの描く老人の顔にはシワなどの説明はなくとも頭部の骨格の経年変化を捉えていることで一目で「老人だ」とわかるのだと。


(作例は、昔用いていたアナログなスライドプロジェクターがまだ動くので、それで35ミリフィルムのスライドを1枚ずつ映しました。デジタルネイティブな学生たちには、珍しかったことでしょう。)ジェスチャー画は、初め彫刻作品の写真上に各自が感じるムーヴマンを描きこむ勉強をさせてもらってから(そこには正解も不正解もありません)、自分の手を思い切って描きました。



2回目は、「感性を解放するアート」です。臨床美術の紹介です。自身20年ほど前から直接的に社会に貢献する美術として勉強しています。

臨床美術は、芸術的創作活動によって五感を研ぎ澄まし感性の覚醒を目指します。1990年代後半から認知症患者さんやそのファミリーケアへの応用が始まり、現在では自閉症や麻痺の方々、ストレスフルな会社員へと・・・適用が広がっています。2009年には学会も設立されました。

認知症に対する臨床美術の本を少し読み、それから造形基礎教育としての(=美術の導入)学生の作例を多種紹介しました。

最後に、量感画体験です。西アジアの牡牛の石の彫刻の白黒写真を上下逆さにしたまま、光の明暗による諧調を頼りに、線画の方に鉛筆か筆ペンで塊り感を感じながら描いていくものです。細かい部分や、耳だ、目だ、鼻だ…という意味にはとらわれずに大きな塊として描いていきます。時間が来たらセーの!で、正位置に戻します。部分や造作の一つ一つにこだわらない方が、かえって塊や量の感じが出るものです。

机上で気軽にできる実技的なものも含めて「アート入門」の講義を、というこの科目設置の意義を実現すべく行ないました。このような体験をきっかけに、描く事への苦手意識のある方々も、感性のままに描く楽しみ、幼かったころの創造の喜びを思い出して、社会人としての大人の脳の働かせ方と違う部分も活性化してスーッと楽になれることを願っています。


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「アート入門」は令和7年度スタートの新カリキュラムで新設された、全学共通科目(全学部学科の学生が履修できる科目)です。人文学科に所属する教員が複数名で受け持つオムニバス形式で、跡見学園女子大学が大切にする「アート」について幅広く楽しく学びます。