2025年3月31日月曜日

横田恭三先生と水谷幸恵先生を送る

 ごきげんよう。

3月は別れの季節、2週間前の卒業式・謝恩会で4年生を送り出しました。

そのときの様子はインスタにアップしてありますので、ぜひご覧ください。

そして、この3月で、人文学科のお二人の先生も跡見を去っていかれます。

書道の授業や書道部の活動でたくさんの学生を見ていらした横田恭三先生と、体育実技や健康科学の授業等で学生の健康と安全を守っていらっしゃった水谷幸恵先生です。

ということで、3月某日に開催されたお二人の送別会からいくつか写真をお見せします。

始まる前のひととき。幹事は長谷川裕子先生・阿部一哉先生・中山慎太郎先生が務めてくださいました。来たらお金を払うシステムです。


柴田眞美先生が松井慎一郎先生の愛猫「くるみちゃん」の絵を描いている様子。この絵ができあがるまでの動画は学科インスタにアップしましたのでぜひ!
猫の話で盛り上がる香山はるの先生と長谷川幸恵先生と松井先生でした。


開会に先立って、森まり子先生からご挨拶。


そして乾杯! もう楽しそうです。このあと、料理を食べつつお酒を飲みつつ思い出話や近況報告に花を咲かせます。


退職されるお二人にお花を渡して、ちょっとしんみり。



そして、横田先生から逆プレゼントをいただきました。こちらは全員いただいたご退職記念の論文集です。

そしてなんと、横田先生直筆の色紙!くじで当たった6人だけがもらえる限定品でした。全員当たりたい!と思っていましたが、こちらの先生方の手に渡っていきました。偶然なのに、それぞれに合う言葉が書かれていて、さすがです。







名残惜しさしかありませんでしたが、解散。鈴木芳明先生・長谷川裕子先生・加美甲多先生・松井慎一郎先生の後ろ姿です。寂しさを抱えつつ、楽しい夜でした。


横田先生、水谷先生、どうぞお元気で!

まもなく4月、次は出会いの季節ですね。人文学科にはお二人の新しい先生が着任されます。またご紹介します!

2025年3月24日月曜日

パリ訪問記【雑記】

 人文学科の栗田(西洋近代美術史・博物館学)です。

 春休みを利用し、科学研究費の調査のためパリに1週間ほど滞在することができました。

 3/7(金)にパリに到着し、翌土曜日から活動を始めました。

まずはルーヴル美術館の展示を67年ぶりに見に行きました。専門としている17世紀フランス絵画の展示室は担当学芸員が変わったのでしょう、展示の順序が大きく変わっていました。これまでは、17世紀の展示室は世紀初頭のカラヴァッジョ派から始まっていたのですが、現在はフランス17世紀を代表する古典主義の画家ニコラ・プッサンの傑作を精選して最初に部屋にまとめてあったのが印象的でした。その後のフランス・アカデミー絵画の展開にいかにプッサンが重要であったのかということもあるのですが、プッサンという画家がアカデミズムの枠を超えた個性的で創造的な画家であるかを知らしめようという意欲がうかがえました。

その後はイタリア美術の展示室である大回廊に足を運び、《モナ・リザ》に挨拶しました。さらに大回廊の端で開かれていたチマブーエ展を見学しました。チマブーエは13世紀に活躍したプロト・ルネサンスの巨匠で、ルーヴルにはイタリアのアッシジにあった《荘厳の聖母》が収蔵されています。今回の展覧会はこの作品の修復記念で開かれたもので、この作品が歴史的、文化的にどのように位置づけられるかが関連作品との比較を通じて手に取るようにわかるようになっていた好展覧会でした。

日曜日はやはり久方ぶりのオルセー美術館へ。展示の基本構成は変わっていませんでしたが、ところどころに新コーナーが設けられており、興味深かったです。ローマ賞コンクールの構図習作がまとめて展示してあったり、現在では評価されなくなった大型のアカデミズム絵画を展示するコーナーが設けられたりと、等身大の美術史を再構成する意欲が強まっていることが改めて感じ取れました。もちろん5階の印象派からポスト印象派へ続く展示室を埋める傑作の数々には圧倒されっぱなしであったが。夕方は、近隣のオランジュリー美術館に足を運び、睡蓮の連作も見学できました。



月曜日からは本格的に調査開始です。まずは旧知のルーヴル美術館の17世紀担当学芸員ニコラ・ミロヴァノヴィッチ氏と学芸員室で面談しました。コロナ禍の2022年に日本で行われたあるシンポジウムにオンライン参加して頂いた方で、この年の秋にフランスで開催された「プッサンと愛」展には小生がエッセイを寄稿させていただきました。その後先述の17世紀フランス絵画の展示室に場所を移し、とりわけプッサンの諸作品の前で、あーだこーだとそれぞれの意見を交わしました。遅めの昼食を一緒にとったのちにお別れし、小生は再びダヴィッド、ドラクロワらの絵画が陳列されているルーヴルの19世紀大型絵画の展示室に向かいました。最新の『人文学フォーラム23号で取り上げたダヴィッドの《ホラティウス兄弟の誓い》も改めてじっくり観察しました。

火曜日はルーヴルの休館日で、絵画部資料室を訪れ、関心のある作家作品について文献資料をチェックしました。水曜日は再び絵画部資料室を訪れる共に、閉まっていたルーヴルの展示室をいくつか回りました。

木曜日は、お目当ての作品を見に、パリから日帰りで弾丸フランクフルト遠征(片道4時間)を敢行しました。シュテーデル美術館に所蔵されているプッサン作《ピュラモスとティスベのいる嵐の風景》を熟覧するためです。この作品は調査の中心作品の1つで、『跡見学園女子大学文学部紀要』59‐60号にもこの作品についての記事を寄せています。最近ではネット上にもかなり高精細な画像が提供されていますが、細部や色合いは実物で確認しないと誤解が生ずることがあります。今回も写真ではややあいまいであった前景に描かれたピュラモスの流血の様子も手に取るように確認することができました。ガラスがはめられていなかったことも幸運でした。



同館では企画展「レンブラントの時代のアムステルダム:黄金時代なのか」が開催中でこれも見学できました。そこには、レンブラントの《サムソンとデリラ》や《デイマン博士の解剖学講義》が出品されており、レンブラントの迫真の描写力に舌を巻きました。


あっという間に最終日となり、金曜日はそれまで閉まっていて見られなかったルーヴルの展示室をのぞき、ポンピドゥーセンターに向かいました。残念ながら改修工事のため常設展は閉まっていましたが、企画展として女流画家シュザンヌ・ヴァラドンの大回顧展が開催中でした。

パリ滞在中はやや風邪気味でしたので、無理をせず見学場所を限りました。とはいえ所定の調査の大半はこなすことができたので、さらに研究を深めていきたいと思います。また、西洋美術史Bの授業内容も今回の滞在で入手した情報でアップデートし、受講生の皆さんにいっそう楽しんでもらえるようにしたいと思います。

土曜日にパリを経ち、翌日曜日に日本に帰国し、火曜日には卒業式に列席しました。

次年度は《ピュラモスとティスベ》に描き込まれた建築のあるローマを中心に調査ができればと思っています。実現したら、また訪問記をお届けします。

2025年3月12日水曜日

【新刊紹介】ミュージアムの中のライブラリでアーカイブについても考えた:体験的MLA連携論のための点綴録

 ごきげんよう。

人文学科には様々な先生方がいらっしゃいますが、その中でも図書館に関することを専門とされている一人が、水谷長志先生です。水谷先生は「図書館情報学」を専攻されていて、MLA連携について研究されています。本学にいらっしゃる前は、東京国立近代美術館に勤務されていました。

MLA連携とは?と思う方も多いかもしれません。MLAは「ミュージアム(Museum)」「図書館(Library)」「文書館(Archives)」の3種類の施設を指していて、それぞれが協力して、知識や情報をより多くの人に届けるための取り組みを「MLA連携」と呼んでいます。

いずれも資(史)料を保存し活用するという点が共通していますが、多くの人がイメージするように、役割は少しずつ異なります。

これらが連携すると、たとえば「博物館で見たものについて図書館で調べる」とか「歴史の本を読んで、その時代の本物の文書を博物館や文書館で見る」などのように、知識をもっと深めたり新しい発見をしたりすることが、よりスムーズに行えるようになります。

また、デジタルアーカイブの作成も重要です。最近はインターネット上で見ることのできる資料も増えてきました。身近なところでいうと、国立国会図書館のデジタルコレクション次世代デジタルライブラリー、国文学研究資料館が構築する国書データベースなどは、その流れにあるものですね。


***


さて、そんな水谷先生が3月12日に新しいご著書を出されました。

『ミュージアムの中のライブラリでアーカイブについても考えた:体験的MLA連携論のための点綴録』* 樹村房、発売日:2025/3/12、228p. ¥3,960 (税込)

―――

MLA連携は3つの館界にあって,その呼称・考え・課題が共通されて久しい。そもそもこの三者の連携についての議論は,1994年にアート・ドキュメンテーション学会(当時,研究会)が国立国会図書館において創立5周年を期して開いたシンポジウム「ミュージアム・ライブラリ・アーカイヴをつなぐもの―アート・ドキュメンテーションからの模索と展望」に始まる。本書は,その企画・司会を担った著者が東京国立近代美術館という館の屋根の下でアートライブラリとアートアーカイブを構築した三十余年の軌跡を点綴したものである。

*本書の出版は,跡見学園女子大学学術図書出版助成によるものです。

―――

[主な内容]

序 ミュージアムの中のライブラリでアーカイブについても考えた―来るべき「博物館情報・メディア論」への助走として

【第1部 ミュージアムの中にライブラリを開く】

 第1章 ミュージアム・ライブラリの原理と課題―竹橋の近代美術館で学んだ5つの命題から

 第2章 東京国立近代美術館本館の情報資料活動

 第3章 第1部のための補論

【第2部 アート・ドキュメンテーションとMLA連携】

 第4章 アート・ドキュメンテーションとMLA連携―語の定義の試み

 第5章 極私的MLA連携論変遷史試稿

 第6章 MLA連携のフィロソフィー―“連続と侵犯”という

 第7章 MLA連携―アート・ドキュメンテーションからのアプローチ

 第8章 第2部のための補論

【第3部 アート・アーカイブ】

 第9章 アート・アーカイブを再考するということ―「作品の「生命誌」を編む」に与って

 第10章 第3部のための補論

 終 章 MLAを越えて―新たな調査研究法としてのMLAからSLAへ

あとがき

索引

―――

素敵なお写真も拝借しました。ご著書のカバー写真も!


【水谷先生より】写真は1990年3月9日発行のColumbia University Record, Vol. 15, No. 18の一面に掲載されたもの。USIA-IVPプログラムの招聘により同大学を訪問する機会を得て,エイブリー建築・美術図書館の建築ドローイング・アーカイブ(AVIADOR: Avery Videodisc Index of Architectural Drawings on RLIN)を操作しているところ。モニターにはローマ・パンテオンの素描が映し出されている。詳しくは,本文(p. 116)および「あとがき」をご参照いただきたい。

------------------------------


【水谷先生より】カバーの《ウナギツリグ》は2011年3月11日の東日本大震災で被災した陸前高田市立博物館の流出資料に一点一点紐付けされラミネートされていた収蔵品のタグである。ここにはMLAのいずれにも共通するメタデータとドキュメンテーションのもっとも貴重な礎がある(本書第5章5.「MLAの同質と差異」, p. 95)


***

ちなみに人文学科には、MLAのそれぞれにまつわる科目が設置されています。また、司書資格や学芸員資格の取得も可能です。情報の重要性や文化の大切さを学び、就職や進学に繋げることができます。興味のある方、まずはオープンキャンパスへおいでください。

【オープンキャンパスのお知らせ】

https://www.atomi.ac.jp/univ/activity/detail/14588/

3月29日、新座キャンパスです。桜が咲いていますように。

2025年3月6日木曜日

松井ゼミ卒業記念フィールドワーク

人文学科教員の松井慎一郎(日本近現代史)です。

3月4日(火)、晴れて卒業が決まった4年生をお祝いする意味で、史跡が密集する三鷹市にフィールドワークに行きました。4年生が10名、3年生が3名、計13名が参加しました。


PM1:00 三鷹駅に集合して黄檗宗の名刹・禅林寺に向かいました。途中、三鷹にゆかりのある作家の文学碑に遭遇、各自、興奮した面持ちでシャッターを切りました。



PM1:20 禅林寺到着。まずは本学にゆかりの深い文豪・森鷗外先生のお墓詣り。


次いで、真向かいの太宰治のお墓にもご挨拶。


PM2:00 「太宰治文学サロン」に到着。職員の方のご好意で、太宰の外套(レプリカ)を着て記念撮影しました。太宰になりきっています!


PM2:30 1948(昭和23)年6月に太宰が入水した付近を見学。


PM3:00  山本有三記念館に到着。1936(昭和11)年から1946(昭和21)年までの10年間、有三が家族とともに住んだ家です。はな夫人は跡見の卒業生であり、ここでも深い縁を感じました。


PM4:00 三鷹駅から中央線に乗って吉祥寺に移動。雪がちらついてきましたが、打ち上げを決行。4時間近く談笑に耽りました。幸いなことに、雪の影響はそれほどなく、各自無事に帰宅することができました。


この3月で4年生は卒業して本学を離れますが、ゼミ生を対象としたフィールドワークはこれからも続けていく予定です。ご要望もありましたので、次回は卒業生もお招きしたいと思います。

2025年3月4日火曜日

【告知】横田先生の「おもて」と「うら」

 ごきげんよう。以前の記事で、ポッドキャストをご紹介しました。その名も「跡見アカデミックラウンジ 大学教員のおもてとうら」で、SpotifyとApple Podcastで配信されています。

パーソナリティは現代文化表現学科の西原麻里先生と、人文学科の中山慎太郎先生です。

一人目のゲストとして、人文学科の加美甲多先生が出演され、研究・授業のお話と趣味のお話をそれぞれなさっていました。まだの方はぜひどうぞ!(第1回・第2回


二人目のゲストとして、人文学科の横田恭三先生が出演されています。本学の書道教育を長年(26年!)担っていらっしゃった横田先生は、残念ながらこの3月で定年退職されますが、その前にお話がうかがえる貴重な機会です。

第3回では、人文学科での授業や、顧問をされていた書道部のことなど、跡見の教員生活を振り返ってのお話をたっぷり聞くことができます。第4回は横田先生の趣味のお話で、水泳や山登りのことなど、こちらもたくさんうかがうことができます。なんと週6泳いでいらっしゃるとか……!? 

ぜひお楽しみください。


***


ポッドキャストとはインターネット上で配信されているラジオのことでして、この番組は無料で気軽に聞くことができます。

Spotifyでお聞きになる場合は下のリンクからアクセスするか、またはSpotifyのアプリを開いて「大学教員のおもてとうら」と検索してください。

https://open.spotify.com/show/1p3PNqDTk5hGDj7EY9fDBj?si=a3888a2d16964fe9

Apple製品をお使いの方は、iPhoneなどにApple Podcastがインストールされていますので、そちらを開いて「大学教員のおもてとうら」と検索してください。iTunesやAlexa対応のスピーカーでも楽しめます。

1回分の時間は10分程度とコンパクトで、ちょっとしたスキマ時間にも聞けますのでお気軽に。ぜひチャンネルをフォローしてお楽しみください。