2025年6月25日水曜日

【人文の資格課程】司書課程・司書教諭課程のご紹介(全学部学科/人文)

  司書課程を担当しています、長谷川幸代です。本学では「司書課程」と「司書教諭課程」を開講しています。現在、司書課程は全学部全学科に開講し、司書教諭課程は教職課程と一緒に履修するため文学部人文学科に開講しています。

 

「図書館」や「司書」と聞くと、真っ先に「本」をイメージする人が多いのではないでしょうか。しかし、それ以外にも沢山のメディアが存在しています。雑誌や新聞、CDDVDBlu-ray、近年では画像化されたデジタルデータも図書館が扱う大事な資料です。知恵や知識の宝庫である図書館ですが、利用する人たちに届ける必要があります。膨大な資料や情報を選別して、使いこなすためにはどうしたらよいでしょうか。

図書館の様々な資料を熟知して、情報技術を使いこなし、利用者へ効果的なサービスを行うことが求められます。そのための科目が、数多く開講されています。 


これは、分類の授業の様子です。「情報資源組織演習B」という科目では、図書に分類記号やキーワードを付与します。学内には、受講生用に日本十進分類法などの資料が揃えられていて、それらを実際に使って演習を行います。
分類演習の様子:皆さん、熱心に分類作業に取り組んでいます。       

授業で使う日本十進分類法

 その他、コンピュータで情報検索をする演習の授業(「情報サービス演習A」)もあります。世の中には沢山の情報が溢れていて、内容は信頼性の高いものから低いものまで玉石混交です。その中から確実な情報を見極めて入手できるよう、データベースなどを利用して実践的な課題に取り組みます。


データベースを利用した情報検索に取り組む様子

 図書館司書課程の授業を履修することで、図書館そのもののことだけでなく、多様なメディアや情報活用について学ぶことが出来ます。こういった知識やスキルは、生涯にわたって活用できるものです。

 本はもちろんのこと、沢山の情報源にふれながら、楽しく学んでいただければ嬉しいです。

  担当教員の最近の著書を紹介します。幅広いサービスを展開する現代の図書館の様子が分かる内容となっています。最近の図書館事情ってどうなっているの?今後の図書館はどうなっていくの?という問いを念頭に書いています。ぜひご覧になってみてください。

野口武悟・新藤透・千錫烈・長谷川幸代〔編著〕 A5190p 2025.3

定価2,750

塚田 修一・松田 美佐(編) 発行年月20254

本体価格  ¥2,500  A5判(148×210

ページ数  296ページ

執筆担当:第2部 日常を探る「多摩の図書館――コミュニティの情報拠点として」

     【コラム】八王子市の図書館動向


2025年6月24日火曜日

文学部プログラム:マイステップ・フォワード!が始まりました

 跡見学園女子大学文学部では、従来の学修支援やキャリアサポートに加えて、学生の主体的な学びを支援し、さらに将来のキャリアへとつながる仕組みを強化すべく、2025年度から3つの独自プログラムをスタートさせました。

 本を読む、表現する、文化に触れる、将来を見据えて活動する——それぞれの好奇心を出発点に、学生が自ら記録し、振り返り、言葉にする機会を重ねながら、卒業後にも活きる教養を身につけることを目指します。


○プログラム1 アカデミック・リーディング・プログラム

 読んだ本の読書記録やレビュー執筆を通じて、知的関心を深めてもらうプログラムです。学生は自由に本を選んで読み、文学部教員のおすすめリストも活用できます。4年間を通して無理なく学問の世界と親しみ、学びを深めることができるようサポートしていきます。

 ☆「読む力」と「考える力」の土台を作るプログラムで、文学部での学びに直接つながっていきます。


○プログラム2 芸術&歴史プログラム

 展覧会や劇場での鑑賞、史跡などへの訪問を通じて感性を磨き、学びを深めることができるプログラムです。授業で得た知識をもとに楽しみながら取り組むことができます。また、文学部教員が用意したオススメの美術館・博物館リストも活用することで、自らの興味関心をもって活動できるようサポートしていきます。

☆探究活動での「フィールドワーク的体験」に近く、アウトプット型学習との親和性が高いのが特長です。


○プログラム3 キャリアデザイン・プログラム

 文学部にとって、学生のキャリア形成や就職活動をどのように支援していくかはこれまで大きな課題でした。このプログラムを通して、資格取得やボランティア、課外活動などに積極的に参加し、それぞれの経験を積み重ねてもらいます。また、それを自身の言葉でまとめることで進路意識を高め、日々の学びとの結びつきも意識できるようにサポートしていきます。

☆「自分の将来像」を考える手がかりとなり、自己表現や自己実現にもつながります。


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参加方法は簡単、活動した内容をポータルの「マイステップ」に記録していくだけです。

在学生のみなさん、ぜひ積極的に参加してください!


詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。

2025年6月4日水曜日

【人文の資格課程】学芸員課程のご紹介(人文・現文・マネジ)

  本学で学芸員課程主任を仰せつかっている人文学科の栗田(博物館学、西洋近代美術史)です。若い頃には14年ほどある県立美術館で学芸員をしていました。数年前に『現代博物館学入門』(ミネルヴァ書房)を編者として刊行し、現在も教科書として使用しています。


 跡見学園女子大学では現在、文学部人文学科、同現代文化表現学科、マネジメント学部マネジメント学科で学芸員資格を取得することができます。

 学芸員は、博物館資料の収集・保管・展示及び調査研究その他これと関連する事業を行う「博物館法」に定められた、博物館におかれる専門的職員で、その資格取得には、大学卒業と文部科学省令の定める博物館に関する科目の単位を修得が必要です。
 学校との連携や生涯学習の推進の一翼を担う地域の博物館では、黙している文化財や作品のメッセージを聞き取り、人々に伝える学芸員の役割はきわめて重要です。

※参考映像;学芸員とは?NHK)

具体的には、前期課程で「生涯学習概論」と「博物館概論」を履修し、後期課程で「博物館経営論」「博物館資料論」「博物館資料保存論」「博物館展示論」「博物館教育論」「博物館情報メディア論」「博物館実習」を履修します。

「博物館実習」は4年生に開講され、春学期の基礎実習、夏期休暇を中心とする学外実習、秋学期の花蹊記念資料館における模擬展示の準備と実施の実習があります。

なお、学外実習の受講にあたっては、人文学科では美術史系か歴史・民俗系のゼミに所属していただき、それぞれに設定された必修科目を履修することで実習生に求められる専門知識を身につけていただくことにしています。

毎年秋学期末に花蹊記念資料館で開催される博物館実習模擬展示は、学芸員課程の集大成となるものです。受講生は美術班と歴史・民俗班に分れ、それぞれが企画、準備、実施を担当します。

2024年度の歴史・民俗班は、「女学生図鑑―教養とおしゃれ―」を企画しました。その模様は大学の公式YouTubeチャンネルでご覧いただけます。コチラ

学芸員の募集は、教職に比べると少なく、とりわけ、しばしば高度な専門知識が求められる大規模館に学卒者が正規職員として採用されることは容易ではありません。そのための深い専門知識を身につけるためには大学院進学が必要となる場合もあります。

中小の自治体では、公務員試験を受けて採用されると博物館への配属の可能性もありますし、文化財行政や文化行政に携わることもあることでしょう。もちろん学芸員資格の取得により、仮に学芸員とならなくとも、博物館に対するリテラシーが高まり、博物館を楽しむノウハウを身につけることができます。

 また、博物館や美術館を取り巻く業種には、展示企画、ディスプレイ、輸送・展示、図録制作、印刷、音声ガイド制作、ショップなどがあり、そこでは学芸員課程で学んだ知識や経験が大いに役立つこともあるでしょう。

卒業時に学芸員にならなくとも、資格があれば学芸員として就職するチャンスはあるものです。学芸員資格の取得は、皆さんの卒業後の活躍の幅を広げる一助になるはずです。


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 ということで、跡見の学芸員課程についてのご紹介でした。次回は全学で取得可能な司書課程を紹介します!

2025年5月28日水曜日

【人文の資格課程】教職についてのご紹介

人文学科の特徴の一つである、資格課程についてご紹介します。今回は教職課程!

本学で取得できる教員免許の種類は、以下のとおりです。

・中学校教諭一種免許状  国語   

・高等学校教諭一種免許状 国語

・高等学校教諭一種免許状 書道

・中学校教諭一種免許状  社会(文科省に申請中)   

・高等学校教諭一種免許状 地歴(文科省に申請中)

(※美術科は、令和7年度入学生より募集が停止になりました。)


全国的に教員不足が叫ばれている中で、実は跡見の教職課程では、教員を希望する学生が、むしろ年々増え続けています。真面目で優秀な学生がたくさん集まっており、実際に教職に就いている人も少なくありません。

【教育実習受講者数】

 ・令和5年度:13名(国語10名、書道0名、美術3名)

 ・令和6年度:26名(国語18名、書道4名、美術4名)

 ・令和7年度:29名(国語19名、書道3名、美術7名)

その秘密は、充実したカリキュラムと指導体制にあります。教職課程では、関係教員の力を合わせた手厚い指導がおこなわれています。教職課程に特化した説明会やオリエンテーションも毎学年(3、4年生は年2回)実施されており、学生たちのモチベーションを高めます。

1年生向けの教職課程ガイダンス)

カリキュラムの面では、12年次(前期課程)において教職科目(「教職論」、「教育心理学」、「教育とICT活用」など)を中心に学びます。

近年、教員採用試験は3年次に受けることができる前倒し選考が行われていますが、この科目配置がその受験に有利にはたらいています。そして、34年次(後期課程)には専門科目が多く配置されており、教員として必要な専門的知識をしっかりと身につけながら、教科の教育法などを学び、実習へと出ていきます。

(後期課程「国語科教材論」の様子)

また、授業以外の場においても、小学校~高等学校の授業見学を全員参加でおこなっているほか、現場の校長先生や教育委員会採用担当者をお招きしての講演会も実施。「現場」を知り、どんな力が必要なのかを考える機会が充実しています。

 

跡見には「教育学部」はありません。それでも、採用試験では高い合格率を誇っています。

 例:令和6年度教員採用試験等結果報告(令和7年度採用)

(1)  一次試験合格者数:3年生15名(受験者数24名)*前倒し受験

               4年生10名(受験者数25名)

              合計:25名(国語科17名、書道3名、美術科5名)

(2)  教職に就いた合計数:8

(3)  大学院:2

 筑波大学大学院(書道科1名)、跡見学園女子大学大学院(美術科1名)

 

残念ながら不合格だった履修者も、教職課程で身につけたコミュニケーション力や分析力、プレゼン力などの様々な経験を活かして、自分の道を切り開いています。中には、社会人になってから再受験する人も。

卒業時には、「大変だったけど、教職がんばってよかったです」と笑顔で。

(卒業式、教職主任の鈴木芳明教授を囲んで)


人文学科に配置されている多様な分野とも行き来しながら、横断的に学ぶことができるのも特色です。

履修する単位が増えるので大変に感じることもあるかもしれませんが、その分しっかりと将来に役立つ資格を得ることができます。

 ということで、跡見の教職課程についてのご紹介でした。次回は学芸員課程を紹介します!


2025年5月23日金曜日

【授業紹介】「ワークショップで学ぶアートA」

令和7年(2025年)度からのカリキュラムでは、全学共通の教養科目として「芸術」分野が新設されました。

跡見学園女子大学の創立者である跡見花蹊が書画の学びを重要視したことを受け継ぐ、「跡見らしさ」があらわれている注目ポイントの一つです。

その中でもユニークなのが、「ワークショップで学ぶアート」です。人文学科の茂木一司先生と柴田眞美先生が担当されています!

今回は春学期ご担当の茂木先生から届いた授業の様子をご紹介します。


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「ワークショップで学ぶアートA」では、協働で学ぶ、いわゆるアート・コミュニケーション学習=民主主義のレッスンをいろいろやっています。不正解がなく、相手といっしょにやることで、自分とは何が自然にわかるようになっていきます。


【第3回】Mondrianワークショップ

ピエト・モンドリアンの「ブロードウェイ・ブギウギ」(1942−43)をモチーフにした、個人の表現がリミックスされて社会化される共同画ワークショップ。

音楽をかけながら、回転寿司のように踊ったり、描いたり、見たりしながら、自然に相手とつながっていってしまうことを学ぶ。個人の表現が社会化されていくプロセスを視覚化する。



【第4回】シアターゲーム 

ゲスト講師:柏木陽先生(NPO法人演劇百貨店)https://engeki100.net/aboutrus/prof/kashiowagi/

演劇の基礎トレーニングであるシアターゲームを改良して、即興で身体的な表現遊びをいろいろやってもらいました。

2人と3人とか4人で、何かになってみます(自転車、顕微鏡などなど)。そこから動きを加えてさらに表現を深めていきます。


アートカードを身体で表現するというのもやりました。最後はできた身体のかたちに台詞をつけて、即興演劇化!


【第5回】 バルーン・ドームづくり1日目

ゲスト講師:塩川岳(しおかわたけし)先生

https://www.facebook.com/kazumogi

塩川岳さんをお呼びして、「バルーン(エアードーム)づくり」をはじめました。カラービニール袋を裂いて、テープで貼って大きなシートをつくる作業は案外重労働ですが、汗をかくのはいいこと!体育館はいっきにカラフルに!とりあえず、今日はここまで!!


【第6回】バルーン・ドームづくり2日目

ゲスト講師:塩川岳(しおかわたけし)先生

先週つくったビニールシートを重ねて円形に整えてカット。縁を空気が漏れないように細かくテープでとめていきます。単純だけど、根気がいる仕事……。その上にカッティングシートとマッキーで装飾…子どもに戻ってお絵かきをするとのびのびとして、いい表情になってきました。最後は、送風機で空気入れ。大きな機器を買ったので、5分程度で大きな風船ができあがります。

入り口を切ってつくって、中に入って感動! 描いた絵が星座のようになって見え、プランネタリュームのようだと感想が出ました。
ワークショップは参加協同型学習です。お互いが自分の役割を自然にこなしていけるように積極的に「参加」の仕方を考えながら学ぶ、いわば民主主義のレッスン。社会構成主義的な関係性の変化を楽しむ余裕がでてきたら、あまり教師のコントロールはいらなくなる。教えない教育の実践です。
お疲れ様…塩川さんにお礼!



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「芸術」と言われるとハードルが高く感じてしまう人も多いかもしれませんが、表現の方法が本当に自由であることを感じ、自分を見つめるきっかけにもなる授業です。

全学共通科目ということで、他学部他学科の学生同士が繋がる機会でもあります。

人文学科には、ここからさらに創作を究めていける実習科目や、文化・思想に目を向けていく専門科目など、様々な角度から「芸術」を知る授業が配置されています。

人文学科の科目についてはこちらからご覧いただけます。また、令和7年(2025年)度カリキュラムについても、こちらからぜひご確認ください。


2025年5月17日土曜日

【新刊紹介】『アンドレ・フェリビアン「王立絵画彫刻アカデミー講演録」註解』

人文学科の栗田(西洋近代美術史、博物館学)です。

このたび、共編訳者として『アンドレ・フェリビアン「王立絵画彫刻アカデミー講演録」註解』を中央公論美術出版から刊行することができました。公益財団法人鹿島美術財団の「美術に関する出版援助」を受けての出版で、助成に心より感謝申し上げます。

もう一人の共編訳者は慶應義塾大学教授の望月典子氏で、『ニコラ・プッサン: 絵画的比喩を読む』(慶應義塾大学出版会)のご著書で知られています。共訳者には、それぞれフランス近世美術の研究で学位を取得された倉持充希、太田みき、福田恭子、小林亜起子、船岡美穂子の各氏に加わっていただきました。この講演録はフランス美術の最重要文献の一つで、1740年には英訳が出ています。近年関心が高まっており、2001年には独訳が、2020年には英語の新訳が出ています。

 フランスの王立絵画彫刻アカデミーは1648年に設立されたもので、ルイ14世の親政開始後の1663年に王室の財政的な支援を受けるようになってその活動が活発になりました。

重商主義政策で知られる太陽王の重臣コルベールは、王室の名声を高めるべく文化政策にも力を入れ、美術アカデミーにも様々な指示を与えました。その中の一つが王室のコレクションを活用しての講演会で、後進の育成に役立つ上達の秘訣をまとめさせようとしました。

講演録の編纂を任されたのが国王歴史編纂官のアンドレ・フェリビアンで、手工的技術としてさげすまれてきた絵画・彫刻の技芸を知的営為としての自由学芸に格上げするために展開された講演録の「序」の議論は有名で、とりわけ歴史画を頂点とする「ジャンルの序列」の理論はその後のフランス美術史の展開に大きな影響を及ぼしました。

 講演会が開始された1667年には7回が開催され、古代美術からは彫刻「ラオコーン」、前世紀の美術からはラファエッロとティツィアーノとヴェロネーゼが、当代の美術としてプッサンが取り上げられました。「序」には翌年の第1回講演会の内容に言及があるので、本書では補遺として第8回講演会も加えました。

各翻訳には詳しい注釈と解題を付し、読者の便宜を図りました。また解説として小生の「アンドレ・フェリビアン『王立絵画彫刻アカデミー講演録』(一六六八年)」と望月氏の「アンドレ・フェリビアンと美術批評」という二つの論考を掲載し、本書の意義が浮かび上がるようにしました。また、講演録の理解の一助となることを念じて、巻末には付属資料として美術アカデミーの規約集の翻訳を掲載しました。

 各講演を担当したのは国王首席画家シャルル・ル・ブランをはじめとする美術アカデミーの画家や彫刻家たちで、実制作者ならでは観点から多面的な分析が試みられています。毎回、基調講演の後に討論が繰り広げられており、当時の芸術家たちの間でどんなことが関心の的であったかがわかります。

 あるフランス語読書会でこの講演録の翻訳に取りかかったのは約25年前に遡りますが、長い中断を経て、新たに優秀な翻訳チームを組んで翻訳を完成できたことは感慨深いです。本書を通じて日本におけるフランス近世美術の理解が少しでも深まっていくことを祈念しています。



書誌情報

『アンドレ・フェリビアン「王立絵画彫刻アカデミー講演録」註解』

(共編訳:栗田秀法・望月典子、共訳:倉持充希・太田みき・小林亜起子・福田恭子・船岡美穂子)

中央公論美術出版、2025年(ISBN 978-4-8055-0997-5)

※出版社による紹介はコチラ


2025年4月29日火曜日

現代造形表現作家フォーラム展のお知らせ

 人文学科の柴田(美術)です。

G.Wの5/4~5/10(5/7休館)に東京都美術館で開催される「現代造形表現作家フォーラム展」に作品を出品いたします。


現代造形表現作家フォーラムは、春に東京都美術館にて、冬には立川の昭和記念公園の「花とみどり・いのちと心展」として毎年展覧会を行っています。平面・立体・インスタレーション・映像表現など、様々なジャンルの表現作家が集まり、現代の事象へ真摯な眼差しを向けている表現者集団です。


春のフォーラム展では、毎回テーマが設けられ、2025年のテーマは「人間を問う」。

柴田は、F100号(162×130.3cm)の日本画2点と樹木による「イノセントアースⅠ&Ⅱ」を出品します。イノセントアースⅠとⅡを並べて展示するのは初めてです。かつてイノセントアースⅠを展示した際に友人から寄せられた「詩文」(作品を見てのイメージで創作してくれた詩文です)も紹介したいと思っています。


便利さや速さを追い求めて発展(?)してきた人類の営みはある意味発展なのかもしれないが、しかしそのことにより同時に地球が泣いている・・・ことを人間は省みなくてはならない、ということを美術で主張します。


5/6のPM(13:30~)は柴田が受付におります。ぜひお越しください。


(昨年春の展覧会「人間と自然 Human/Nature」の様子)

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◯現代造形表現作家フォーラム展

2025年5月4日(日)~5月10日(土)(7日休館)

9:30~17:30(最終日13:30) 入場17:00迄(最終日13:00迄)

東京都美術館ギャラリーA(JR上野駅「公園改札口」より徒歩7分、地下鉄上野駅「7番出口」より徒歩10分、京成上野駅より徒歩10分)

入場料500円

2025年4月25日金曜日

花蹊記念資料館の見学

 現在花蹊記念資料館では、学園創立150周年記念「跡見花蹊と跡見女学校開学へのあゆみ」展が開催中です。HPでは企画趣旨が次のように記されています。

 

跡見学園創立者の跡見花蹊[1840-1926]は、教育者のみならず、画家・書家としても高く評価されました。本展では、跡見学園創立150周年を記念して、花蹊が手掛けた書画の中でも代表作を中心に紹介し、跡見学校開学までのあゆみを振り返ります。

花蹊は、摂津国西成郡木津村(現在の大阪市)で家塾を営む家庭に生まれ、幼少の頃から書画に親しみ、20歳になる頃には家塾の経営も任されました。

画家の円山応立や中島来章に「円山派」の画法を、日根対山に「南画」の画法を、頼山陽の門下であった儒学者・宮原節庵と後藤松陰に漢籍・詩文・書法を教授された花蹊は、のちに独自の表現を追求し、《四季花卉図》や《萬山畳翠図》などの代表作を生み出しました。また、花蹊の書の表現は「跡見流」として受け継がれています。

本展では、洋画家・黒田清輝による花蹊の肖像画を公開します。また、書画のみならず、花蹊が実際に着用していた「紫袴」や、生徒に授けた書画の手本、代表作《四季花卉図》に使用されている印章も展示いたします。花蹊はいかにして開学への道のりを歩んだのか、豊かな創作活動の足跡をお楽しみ頂ければ幸いです。

 

学内に博物館が設置されている跡見の特色を生かすべく、人文学科の学生の受講が多い「博物館概論」の授業で資料館の見学を417日に行いました。会場ではこの展覧会を担当した若林学芸員に展覧会の概要をお話しいただくとともに、学芸員課程を志す学生たちに向けて準備や展示に当たっての工夫や苦労をお話しいただきました。

受講生からは、 

今日の見学で、展示だけでなく学芸員さんのリアルな展示での苦労話を聞けて面白かったです。特に自分が興味を持ったのは飾り方についてです。花蹊が書いた短冊など、見学に来た人に見えやすいよう積木で頭の方から傾けてくれていたり、大きい掛け軸作品の上の方が巻く装置で巻かれてみえやすいようになっていたりと様々な工夫がされて展示が行われているのだなと実感しました。私は高校の時に書道部で大きな掛け軸作品を臨書ですが書いていたので掛け軸系のお話が特に興味深かったです。見学とても楽しかったです!

 であるとか、 

学芸員さんの展示までの苦労話の中で学芸員がこんなに関わっているのかと驚きました。原稿を作りから始まり、展示の設営、さらに私たちに展示物の説明などお話を聞いているだけで大変さを知り学芸員の重要度を知りました。展示のパネルや実物の配置方法、展示のテーマに必要な展示物を決めたりなど、どうしたら相手に伝わるかを重視したりしているのだと改めて思いました。実物があって特によかったのは、制服の袴です当時の人の身長が知れました。

 といった声が届けられ、多くの学生に展覧会や学芸員の仕事についての関心を掻き立てることができたようです。今後も花蹊記念資料館を活かし、少しでも学生の心に刺さる授業を心がけたいと思います。

 


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展覧会情報

跡見学園創立150周年記念・企画展「跡見花蹊と跡見女学校開学へのあゆみ

・会  場: 跡見学園女子大学花蹊記念資料館 展示室12

・会  期:2025324日(月)~520日(火)

・開館時間:10時~16

・休 館 日:土曜日・日曜日・祝日

 ※426日(土)は開館、52日(金)は休館いたします。

・入 館 料:無料

 

【関連イベント】

当館学芸員によるギャラリートーク(所要時間15分前後)

・日  時:⑴2025426日(土)1440分~

      ⑵2025517日(土)1400分~

・会  場:跡見学園女子大学花蹊記念資料館 展示室12

 

※展覧会について詳しくはコチラを。

※展示内容については資料館の公式Xもご参照ください。 コチラ





2025年4月19日土曜日

推しのいる生活【かるた部紹介】

人文学科の加美甲多(日本中世文学)です。

せみまる・・・。

彼との出会いは坊主めくりであった。

坊主めくりとは『小倉百人一首』の絵札を使って遊ぶゲームである。当然ながら札は100枚あり、100人の人物が描かれているが、なぜかいつも気になる存在は蝉丸であった。

坊主=僧侶をめくると基本的にすべての札を返すシステムで、坊主に注目が集まりがちとはいえ、在原業平や紫式部、清少納言などはなじみ深いはずであり、坊主なら西行や慈圓(じえん)といった有名な人物もいた。

それでもやはり気になるのは蝉丸であった。「蝉丸」という一風変わった名前と、どこかミステリアスに描かれた札の影響だったかもしれない。

あるいは蝉丸ルールなるものも存在していたことから、古くから蝉丸を特別視する人々がいたとも言えるかもしれない。

当時はこの感覚を説明するのは難しかったが、いま考えるとこれが「推し」という感覚だったのであろう。

数多存在するグループのメンバーからひとりを選ぶ。要は『小倉百人一首』の詠み人は100人の男女混合文学アイドル(歌手)グループで、さらに細分化された12人のグループ僧侶から蝉丸を推したというわけである。

いまと変わらず、誰を推しても自由であり、坊主をめくってはいけない坊主めくりでさえ、推しが登場すれば自ずとテンションは上がるのである。

坊主めくりで戯れていた頃から、はるか未来に蝉丸を授業で取り上げたり、論文に書いたりする日が来るとはまったく想像していなかった。蝉丸の詠んだ『小倉百人一首』10歌は


これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関


であり、難しいことを抜きにすれば、人間の出会いと別れをダイナミックに表現している。

彼は琵琶法師や説教師の世界でもリスペクトされ、現在の滋賀県には蝉丸神社や関蝉丸神社など、音楽や芸能の神様として彼を祀った神社もあり、神格化されている。いわば推しの聖地巡礼も可能なのである。坊主めくりから始まった推し活はどこまでも奥深く、果てしない。

坊主めくりと同じく、かるたも『小倉百人一首』から誕生したゲームである。それが競技かるたという札を取り合うスポーツのような勝負にまで発展した。


自分にとっては競技かるたで蝉丸の札を取れたときのうれしさや楽しさは特別なのである。どの世界でも推しのいる生活は楽しい。あなたもかるた部で推しを探し、その推しの札を取る爽快感を味わってみてはいかが?


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かるた部について詳しく知りたい方へ

@跡見学園女子大学かるた部Xアカウント

私達かるた部は競技かるたの練習、大会参加はもちろん、大学図書館が所蔵している百人一首の資料を地域交流イベントを通し広める活動を行っております。イベントでは袴を着ての試合や、毎年菊坂かるた大会を主催しております。百人一首に興味がある方、初心者大歓迎です!


2025年4月14日月曜日

【募集】2025年度夏期フランス語研修

 今日は跡見学園女子大学の夏期フランス語研修(約1ヶ月間)についてご紹介します。

「なんで人文で?」と思ったひともいるかと思いますが、人文学科の中山慎太郎(フランス文学、フランス語教育)が一週間ほど引率しているからです。

フランスでの滞在に慣れるまで、みなさんの成長を妨げない程度にサポートします。

なので、「海外旅行に行ったことはないんです…」というひとも安心。

(トラム、バスのチケットの買い方)

(みんなでバス)

さて、夏期フランス語研修についてなのですが、2025年度も例年どおり8月3日から9月1日までの研修です。

場所はフランスの北西部の街アンジェ。
大きすぎす、小さすぎない街で、治安と気候の良い街ですよ。
世界遺産のアンジェ城で有名です。

(アンジェ城)

(アンジェ中心のラリモン広場)

語学研修先は西カトリック大学(Université catholique de l'Ouest)。
外国人へのフランス語教育に力を入れている学校で、初級から上級までクラスがあります。
自分の力にあわせて楽しくフランス語が学べますよ。

約20カ国からの研修参加者もいて、国際色豊か。
いろいろな国の友だちもできます。
もちろん、フランス人の学生も研修のサポートについています。

(ガイダンス1)

(ガイダンス2)

研修の最後にはパリ研修も。

旅行で海外に行くことは大学を卒業してもできますが
海外での「生活」は学生時代にしかなかなかできません。

(みんなでカフェ)

(授業後の散歩)

ぜひこの機会にフランスで「海外での生活」「海外の大学」を体験してみませんか。

気になる参加費など詳しくは↓

直接話しを聞いてみたいというひとは、国際交流課(d-kokusai(at)mmc.atomi.ac.jp)か中山(nakayama(at)atomi.ac.jp)までご連絡ください。

今年度(2025年度)の申込期間は4月18日9:00から4月21日(月)正午12:00まで。

最後に、昨年度のフランス語研修の思い出を動画にまとめてもらいました。


「楽しそう!」と思ったあなた、ぜひ検討してみてください!

(「夏期フランス語研修お疲れ様会」ル・ブルターニュ@神楽坂でガレット)

2025年4月7日月曜日

【新刊紹介】協同と表現のワークショップ:学びのための環境のデザイン(増補改訂第3版)

ごきげんよう。

茂木一司(インクルーシブアート教育・美術科教育)先生から、新刊のお知らせが届きましたのでご紹介します。

茂木先生は体感型の学びを大切にされており、この4月に入学した1年生からを対象にしたカリキュラムでは、教養科目の一つとして新設された「ワークショップで学ぶアート」も担当されています。茂木先生いわく、「これはたぶん日本の大学では珍しい教養科目での美術実技科目です」とのことです。

新カリキュラムの紹介ページも、ぜひご覧ください。

https://www.atomi.ac.jp/univ/faculty2020/new_educational_curriculum_2025/

茂木一司編集代表『協同と表現のワークショップ:学びのための環境のデザイン(増補改訂第3版)』(東信堂、2025.3.31)が刊行されました。

2010年初版、2014年第2版(https://x.gd/IEiA9)、10年ぶりに第3版となりました。

増補部分は、「[増補]終章 これからのインクルーシブアートワーク ショップの理念と実践―ケア・アクセシビリティ・ウェ ルビーイング―」として加えた内容で、インクルーシブ防災とジェンダー・LGBTQのアート教育及び視覚障害のためのインクルーシブアート教材開発、です。それに加えて、この本も最終版になるだろうと思って、「上田信行×苅宿寿文×茂木一司」の対談を結びに加えました。2003年頃から本格的にワークショップ学習を研究した成果をまとめたもので、最近のインクルーシブアート教育を今回加えました。

アートも含め、様々なことをからだ全体で学んでいくことが必要です。それは、頭で考えてからやるのではなく、やってから考えることと考えてからやることを即興でバランスよく繰り返すことでもあります。

世間ではワークショップはすでに透明化?しているくらい普及をしていますが、(大学を含めて、小中高校の)実際の教育/学習に関してはまだまだ主体的な学びとは言えない状況もあり、分断された教育ではなく、(生の)全体性を保証する学びにはワークショップのような指向性が必要と考えています。単なる方法ではなく、コンセプトとコンテンツが「分けられない」、そんな学習の在り方が求められています。


本はワークショップの入門書として編集していますので、初心者でも読みやすく具体的です。

東信堂とamazon等にじきに紹介されると思いますので、どうぞお手にとってご覧ください。


※ワークショップの社会的な広がりについては、以下のWebページを参照してください。

https://wsd.si.aoyama.ac.jp/about/

https://wsd2o.org/

https://wsd2o.org/manage/

2025年4月5日土曜日

新年度を迎えました

 ごきげんよう。

いよいよ新年度が始まりました。人文学科は新たにお二人の先生を迎えました。

(左)大髙皇准教授 (右)香取潤哉准教授

大髙先生は地理学がご専門で、香取先生は書道史がご専門です。それぞれ関連の授業を担当されます。

また、新入生も迎えました。4月3日の入学式はあいにくのお天気でしたが、新座キャンパスの色とりどりの花が入学を祝うかのように咲いていました。





在学生も含め、今日から履修登録が始まります。みなさんが興味のある分野の学びを深めていけるよう、教員もサポートしていきます。

2025年3月31日月曜日

横田恭三先生と水谷幸恵先生を送る

 ごきげんよう。

3月は別れの季節、2週間前の卒業式・謝恩会で4年生を送り出しました。

そのときの様子はインスタにアップしてありますので、ぜひご覧ください。

そして、この3月で、人文学科のお二人の先生も跡見を去っていかれます。

書道の授業や書道部の活動でたくさんの学生を見ていらした横田恭三先生と、体育実技や健康科学の授業等で学生の健康と安全を守っていらっしゃった水谷幸恵先生です。

ということで、3月某日に開催されたお二人の送別会からいくつか写真をお見せします。

始まる前のひととき。幹事は長谷川裕子先生・阿部一哉先生・中山慎太郎先生が務めてくださいました。来たらお金を払うシステムです。


柴田眞美先生が松井慎一郎先生の愛猫「くるみちゃん」の絵を描いている様子。この絵ができあがるまでの動画は学科インスタにアップしましたのでぜひ!
猫の話で盛り上がる香山はるの先生と長谷川幸恵先生と松井先生でした。


開会に先立って、森まり子先生からご挨拶。


そして乾杯! もう楽しそうです。このあと、料理を食べつつお酒を飲みつつ思い出話や近況報告に花を咲かせます。


退職されるお二人にお花を渡して、ちょっとしんみり。



そして、横田先生から逆プレゼントをいただきました。こちらは全員いただいたご退職記念の論文集です。

そしてなんと、横田先生直筆の色紙!くじで当たった6人だけがもらえる限定品でした。全員当たりたい!と思っていましたが、こちらの先生方の手に渡っていきました。偶然なのに、それぞれに合う言葉が書かれていて、さすがです。







名残惜しさしかありませんでしたが、解散。鈴木芳明先生・長谷川裕子先生・加美甲多先生・松井慎一郎先生の後ろ姿です。寂しさを抱えつつ、楽しい夜でした。


横田先生、水谷先生、どうぞお元気で!

まもなく4月、次は出会いの季節ですね。人文学科にはお二人の新しい先生が着任されます。またご紹介します!